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#僕
よし、つばくろ!今日も張りきっていこう!
#つばくろ
ピィッ!
#
Prrr!
#僕
あれ?電話?こんな朝早くに……。もしもし?
#?
仕事h
#
ガチャッ ツーツーツー
#つばくろ
ピィ?
#僕
……今日も張りきっt
#
Prrr!
#僕
…………。
#僕
……はい。なんでs
#母さん
仕事はまだありませんか?
#僕
仕返し!?さてはさっき言葉を遮ったからか!器がちいs
#母さん
質問に答えなさい
#僕
…………はい。
#母さん
それでまだ鳥なんか飼ってるの?
#僕
ははは。そんなわけない「ピイピィ」今のはお腹の音だよ!母さん!さっき焼き鳥食べたからかな!
#母さん
あんたが鳥飼ってることくらい態度見てればわかるわよ……
#僕
さすが親子……。離れていても息子のことが手に取るように分かるというのか……。
#母さん
全世界探しても分からないのはあんただけだろうね
#僕
ははは。ご冗談を。
#母さん
はあ……。あんよが人より早くできるようになった頃までは天才だと思ってたんだけどねぇ。
#僕
ねえ。息子の才能諦めるの早くない?普通、幼稚園までは親眼鏡で見てくれてもいいよね?ねえ?
#母さん
そうねぇ。割と早い段階でバカって気づいちゃったから……。こんなだから私が直々に様子見に行かなくちゃダメなのかねぇ。
#僕
ねえ、今さらっとバカって……。っていうかもっと大事なことさらっと言ったよね!?様子見に来るってなに!?いやだぁ!来ないでぇ!
#母さん
鬼や悪魔みたいに言うんじゃないの。きちんと掃除しておきなさい。だらしない息子のあれやそれなんか見たくないんだから。
#僕
あれやそれってなに!?ていうかいつ来るの!?分からない!何も分かりたくない!
#母さん
…………。
#
ガチャッ
#僕
無言で切らないで―――――!!
#僕
どうしよう!掃除?隠蔽?いや、それよりも結界張った方がいい?
#
Brrr
#僕
なに?ケータイ?メール?
#From母さん
再来週ニ参リマス。覚悟シトケヨ。
#僕
ぎゃあああああああああ!
#つばくろ
…………。ピィピィ……。
#
ピンポーン
#僕
…………。
#
ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン
カチャカチャ ガチャッ
#母さん
お邪魔しまーす。
#僕
なんで鍵持ってるの!?
#母さん
大家さんに借りた。
#僕
大家さぁん!?
#母さん
……あら?男の一人暮らしにしては割と片付いてるじゃない。
……異様な小屋があること以外。
#僕
え、え?何のこと?
#母さん
だからもう分かってるわよ……。ほらほら、おいで~、つばくろちゃーん。
#僕
なんで名前まで分かってるの!?
#母さん
母の力よ。
#僕
母ってすげー……。
#母さん
伊達にあんたを産んでないわよ。あら?つばくろちゃん?かわいいでちゅねー!
#つばくろ
ピ、ピィ……。
#僕
……御用の方は済みましたか?そろそろお帰り願えませんか?駅まで送りますよ?
#母さん
これだけで済むわけないでしょ。
#僕
ですよねー。なら用を済ませてさっさと帰ってください。
#母さん
ひどい言い種ね……。でも気にしなくていいわよ。今日一日あんたの生活を監視したら帰りにちょっと観光して帰るから。
#僕
今日一日監視って……ずっとここにいるんですか?
#母さん
あんたが外に出たら付いていくわよ。
#僕
……すぐ近くに交番があるんだけどストーカーとしてつきだしてもいいですか?
#母さん
親にストーカーされて困ってますと言えるものならどうぞ?
#僕
…………。
#母さん
…………仕送り。
#僕
……ッッ!……ど……うぞ、ご自由に……。
#母さん
よしきた。
#僕
母さん……僕は脅しに屈してしまいました……。
#母さん
母さんならここよ?何でも聞いてあげるわよ?
#僕
……もう、勝手にしてください……。
#母さん
言われなくてもそうするわよ。ねー、つばくろちゃん。
#つばくろ
ピィ!ピィピィ!
#母さん
ほら、つばくろちゃんも喜んでくれてるわよ。
#僕
…………うらぎりもの……。
#つばくろ
ピィ……!
#母さん
見送りありがと。ここまででいいわよ。
#僕
うん!じゃあね、母さん!さよなら!
#母さん
今日一番の爽やかな笑顔で別れを喜ぶな。まだ話すことあるんだからそこにいなさい。
#僕
えー。
#母さん
……あんたはいくつになってもホント子供みたいだねぇ。今日一日の生活見て少しは見直したんだけど……。
#僕
え?じゃあそっちに帰るって話も……!
#母さん
それはダメ。就職もままならないお前に親元を離れる権利はない。職に就いてから物を言え。
#僕
辛辣すぎない!?
#母さん
私が見直したのはきちんとつばくろちゃんの世話をできていたことよ
#僕
えー……。そんなによくできてた?
#母さん
まあぶっちゃけ言って微妙だったけどね。
#僕
ですよねー。じゃあなんで見直した、なんか……
#母さん
そうね……。あんたってさ、ホント昔から子供っぽかったじゃない。部屋の片付けしないし、お風呂にはなかなか入らないし、勉強はすぐ後回しにするし。私もよく思ったものよ?この子は私が一生面倒見なくちゃ生きていけないんじゃないか、って。
#僕
それは言い過ぎでしょ。
#母さん
そうかしらね。だからあんたが一人暮らしするって言った時は肝が冷えたわよ。今まで育てられて生きてきたあんたが一人で生きていけるのか、って。
#僕
僕はカイコですか……。
#母さん
それに近しい生き物だと思ってたわよ。でも実際は違った。いつも「育てられる側」だったあんたがいつの間にか「育てる側」になっててさ。ああ、いつまでも私の子供のままじゃないんだな、ってさ。
#僕
な、なに。恥ずかしいな……。僕がいなくなって寂しくなっちゃったりでもしたの?
#母さん
……そりゃ寂しいわよ。親はね子供の成長は嬉しいのに、いざ子供が巣立っていくと悲しく感じるものなのよ。
#僕
……よくわからないや。
#母さん
あんただって他人事じゃないのよ?つばくろちゃん。そろそろ巣立てるんじゃないの?
#僕
あっ……。確かにもう飛べてきてるし、この辺の土地勘はついてきただろうけど……。そうか……。いつかは送り出さなきゃダメなんだ……。
#母さん
ちゃんと考えときなさいよ。あんたは来年の四月にはこっちに帰ってくるんだから。
#僕
職に就けないのは決定事項ですか……。そんなに言うならここにいさせてくれてもいいのに。
#母さん
だーめ。自分のことは自分で責任取りなさい。それが大人、でしょ?
#僕
……そんなこと言われてる内はきっといつまでも僕は母さんの子供のままだよ。
#僕
……ほ、ほら!さっさと行きなよ。電車に遅れるよ!ただでさえそんなに本数ないんだから!
#母さん
ふふ、そう?じゃあそうするわ。元気でやってなさいよ!
#僕
母さんこそね。父さんによろしくね!
#僕
…………。行ったか。
#僕
そうか……。別れの時は近づいてるんだなぁ。
#僕
ちゃんと、考えなきゃな……。